東京海上ホールディングスは、2025年10月、中小企業に再生可能エネルギー電力を供給する事業を始める。複数の中小企業に合同で契約を結ぶことを促し、再生エネを活用した電力を低コストで供給する。
電力の供給事業への参入は大手損害保険で初めてで、本業の保険の顧客開拓やつなぎとめも見込める。2024年に新設した子会社「東京海上スマートGX」が手がけ、まず東京海上日動の約1300の保険代理店を通じて事業展開する。2029年度までに中小企業の事業所など約1600カ所への提供を目指す。
複数の小売電力事業者と媒介契約を結び、顧客の中小企業向けに太陽光などで発電した電気を供給してもらう。事業エリアが隣接する企業に合同で契約を結んでもらうよう促し、契約ごとに電力使用量などに応じたプランも提案する。
複数の中小企業が合同で契約することによるスケールメリットを生かし、電気料金を安く抑える。事業開始に先だって実施した実証実験では、参加した企業の事業所など約8割の拠点で電力料金が既存契約よりも安くなった。最大で2割安くなったケースもある。
時価総額3兆円以上の東証プライム上場企業は27年3月期から供給網全体で温暖化ガス排出量を開示することが義務化される。大手製造業などでは取引先の中小企業にも、原材料製造などで再生エネを活用するよう求める動きが広がる。
全国の地銀や信金と連携し、中小企業の脱炭素に関する課題を診断し解決策を提案する事業も始める。
