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AI発の金融激変、金融業の発展に向け、金融庁の手探りが続く(2025年4月22日日経記事を中心に)

金融庁が2000年7月1日の発足からまもなく25年を迎える。バブル経済崩壊後の金融システム不安の払拭という目標を掲げて船出したものの、デジタル技術の発展や人工知能(AI)の登場で金融の領域は広がり、行政に求められる役割も変質しつつある。

金融機関の生成AIの活用は日米ですでに差がつき始めている。米金融大手のJPモルガン・チェースは米オープンAIの「Chat(チャット)GPT」をベースに、顧客が求めるテーマに沿った銘柄を自動で選定するシステムを昨年公開した。世界の大手金融機関で初めてとうたわれた。

一方、最新技術の大胆な活用に挑む金融機関は乏しい日本。金融庁の調査では、生成AIをすでに導入している金融機関でも多くが文書をデータにしたり、情報検索に使ったりといった業務効率化に活用するにとどまった。

日本の金融業は海外と比べ、稼ぐ力が見劣りする。財務省の国際収支状況によると「保険・年金サービス」と「金融サービス」を合算した金融業に関するサービス収支は24年に2兆5000億円の赤字と、比較可能な1996年以降で過去最大になった。海外に支払う再保険料や損害保険料などを示すこうした「金融赤字」はデジタルサービスの海外への支払いによる「デジタル赤字」に次ぐ規模に膨らんでいる。日本発で競争力の高い金融商品を生み出せていない状況の一端を示す。

EYストラテジー・アンド・コンサルティングによると、金融業が国内総生産(GDP)に占める割合は日本の4%に対し、米英が9%弱、アジアを代表する金融都市であるシンガポールは14%と開きがある。裏を返せば、成長の余地は大きい。

いまや金融庁が金融機関を育てるだけではおぼつかない。AIに代表される最新技術、海外投資家が目を光らせるコーポレートガバナンス(企業統治)改革。金融庁が先頭に立たざるをえない場面が増えてきたのは事実だ。金融業の発展に向け、金融庁の手探りが続く。

 

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